前向きになれる記事

今日の聖教新聞の裏表紙と言いますか最後のページの記事です。

今朝、一面から読んできてそろそろ読み疲れてきてたところに読んだんですが、予想に反し(?)、内容がすごく良くて、前向きになれる記事で、引き込まれるように一気に読み終えました。

みなさんにも読んでもらいたくて、電子版から記事をコピーし、以下に貼り付けました。ぜひお読みくださーい。

〈教育〉 衝動的な子ども時代を振り返って

書道家 武田双雲さん

「発達障害と分かり、自分は悪くないと気付けた」

 斬新な作品を生み出し、書道家として活躍する武田双雲さん。近年は色を使った書にも注目が集まる。幼い頃からそそっかしく、衝動性が強かったという。4年前、自身が発達障害の一つであるADHD(注意欠如・多動症)の傾向が強いと知る。武田さんに子ども時代を振り返ってもらうとともに、ADHDの特性を生かす工夫について聞いた。

欠点と思った特性 アートとして輝く

話を聞くのは3分が限界

 ――ADHDの傾向があると知った時、どのような気持ちでしたか。

 ほっとしたというのが当時の気持ちです。今まで人とうまくいかないことが多く、その原因は自分にあるという思いがあったから、ADHDの特性だったと分かり、楽になりましたよ。
 昔から、頻繁に物をなくしたり、じっとすることができずに動き回ったりということがよくあったんです。衝動性が強く、同じことを続けるのが苦手で、本も2、3ページ読んだら飽きてしまいます。誰かの話をじっと聞き続けるのも3分が限界でした(笑い)。

 ――どのような学生時代を?

 学生時代はバイトもやったけれど全部クビ。例えば、年賀状の仕分けの仕事でも、一枚一枚の個性的な字体に魅了されて、その感動を伝えずにはいられなくなるんです。その姿がふざけていると捉えられて……。よく大人から「お前はいつも要らないことばかりする!」と叱られていました。
 ただ、性格は明るい方で、嫌なことがあっても、すぐに忘れてケロっと。意識がずっと同じところにとどまらずに、いろいろなところに向かうから、嫌なことも忘れやすかったのだと思います。

「天才ばい!」とたたえる両親

 ――ご両親はどのような方ですか。

 叱られた記憶はなくて、僕が何をしても「すごい」としか言わない両親でした。何か上手にできると、「天才ばい!」ってもろ手を挙げて喜ぶ。家庭はとても居心地が良かったですね。
 ただ、学校や社会では怒られてばかりで、自分のすることをどんどん否定され続けていました。当時は、なぜ、自分が怒られるのか、よく分かっていませんでした。今振り返ると、つらいことが多かったと思います。
 大人たちが少しでも、自分のことを理解して、ちょっと変わった言動でも、「すごいね!」「面白いね!」「よくできているね!」と受け入れてくれたら、どれほど楽だっただろうかと思います。認めてもらえるとほっとするし、自信が持てますから。

得意なことで妻に貢献

 ――ご自身の特性を考えて、仕事で工夫していることはありますか。

 自分が得意なこと、好きなことをやるようにしています。苦手なスケジュール管理やメールの返信は秘書にお任せ。僕がやるのは作品を書くこと、しゃべることのみです。
 僕は自分ができることで人に貢献したいんです。努力して苦手な事務作業をやっても、結局、人並みにいかないレベルで、人に迷惑を掛けるだけ。だったら、苦手なことは得意な人に任せた方がいい。そうすることで、僕は得意なことで人を喜ばすことができます。

 ――家庭ではどのように生活のやりくりを?

 家庭でも苦手な料理、掃除などはやりません。その代わりに、僕が得意なこと、例えば、妻のマッサージをしたり、話をたくさん聞いたり、料理をおいしいと言って食べたり、子どもと遊んだり、といったことをやります。得意なことであれば妻に貢献できますから。

 ――その特性を理解してもらうまでは大変だったのではないでしょうか。

 僕はデートの計画も立てられないし、新婚旅行の時は急に自分勝手な行動を取って行方不明になったりしていましたから、とても大変な思いをさせていたと思います。泣きながら怒られたこともありました。
 ただ、徐々に、良い意味で、私に対する理想と期待を諦めてくれたようです(笑い)。僕の楽観的な性格といったプラスの面に目を向けてくれて、個性をそのまま受け入れようとしてくれたんですね。とても感謝しています。

将来より「今」に目を

 ――書道家として、ご自身の特性が生かされていると感じることはありますか?

 最近、従来の書に加えて、色付けしたものを作っているのですが、これをアートとして受け入れてくれる人が増えています。そもそも、衝動的に色付けをしたくなってやってみただけで、それを面白半分にネットにアップしたんです。
 それを見てくれた人が「すごいアートだ」と思いの外、評価してくれました。
 僕は学校や会社生活では「余計なことばかりするな」と叱られていました。でも、アートの世界では余計なことが逆に評価される。「余計なことをする」という特性がプラスになるとは想像もしていなかったことです。

 ――発達障害の特性がある場合、勉強が苦手だったり、友達関係でトラブルを抱えたりといったことが起きやすいように感じます。わが子が社会人としてやっていけるのかが不安だ、という親御さんの声もあります。

 そもそも僕は未来のために頑張ることが苦手です。未来のことになかなか意識が向かない。目の前のことばかりが気になるからです。
 逆に多くの人が何かしらの理由、目的があって行動をしている、ということが分かった時には、とてもびっくりしました。未来のことを考えるのが苦手な僕からすると、将来を考え、目的・目標を持って頑張れる人はすごい。本当に頭がいいと思う。
 だけれども、少し、将来の不安に重きを置き過ぎているのではとの思いもあります。
 将来は今の延長でしかないから、今が元気で楽しくやっていられれば、将来もやっぱりうまくいくのでは? 今が不安でいっぱいだったら、そうしたものを呼び込んだ将来になると思うのです。だからやっぱり今が大事。今を楽しめば先も明るい。順番が逆になっていないか確認してほしい。
 大人が今、子どもとの関わりを楽しむ。味わう。その感覚が強ければ、子ども自身がいい出会いを引き寄せながら、自分の特性を生かした仕事を見いだしていけるというのが僕の考えです。

 たけだ・そううん 1975年、熊本生まれ。書道家。斬新な個展、創作活動が注目を集め、NHK大河ドラマ「天地人」の題字など数多く手掛ける。3歳から母で書道家の武田双葉に書を教わる。東京理科大学を卒業後、NTTに入社。約3年の勤務を経て、書道家として独立。子どものための書道教室も主宰してきた。著書に『波に乗る力』(日本文芸社)など多数。

【ADHDとは】

 注意欠如・多動症。物をなくす、忘れっぽい、落ち着きなく動き回るといった不注意、多動性、衝動性を中心とした特性がみられる。発達障害の一種。

ね。いろいろと考えさせられませんか?

私は、幸せな気分にもなりましたよー。

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